阪本順治監督の描く「闇の子供たち」は今なお地獄の渦中にいる・・・
2008-05-14 13:25

何度「最悪っ!」と心の中で吐き捨てたかわからない。
もちろん映画自体のことではなく、登場する搾取者たちに対して。
阪本順治監督の渾身作「闇の子供たち」は、児童買春、人身・臓器売買という現実の問題をえぐる。私たちが普通に生活していると目に入ってこない現実を。
報道、書物などから得られる出来事の事実の断片は知っていても、それがどのような実態なのかは日本に安穏と暮らしていてはなかなか感じられない。
子供たちは、訳もわからず連れてこられ、檻に閉じこめられ、外国人(日本人含む)に買われていく。ある者はペドファイル(小児性愛者)に性の玩具にされ、病気になったらゴミ同然に捨てられる。ある者は生きたまま臓器を抜かれ、殺される。何の希望もない悲惨すぎる事実。まさに地獄。
それを具体的な映像として見ると、細部は鮮明になり、搾取者の卑劣極まりない最悪な行為が牙をむいて襲いかかってくる。
描写はあえて抑えてある(センセーショナルに扱ってしまうと、加害者を煽ってしまう恐れがあるため)。それでも免疫のない人にとっては刺激が強いかもしれない。
本作はほとんどがタイでのロケのため、タイ語(日本語字幕)が話され、最初はドキュメンタリーのような錯覚を受けますが、日本人俳優と現地俳優&子役が出演する劇映画です。
日本人ジャーナリスト(江口洋介)とNGOに参加している女性(宮崎あおい)を中心に、目指すところは同じだが考え方が異なるので足並みが揃わない。そして、これらのやりとりに相当な葛藤ドラマが展開されます。
プレス資料を読んで凄いと思ったのは、自身が一時失声に陥ったという監督の言葉。
生半可な考えでは描ききれない題材なだけに、現実を見据え、社会に与える影響や責任を考え、搾取される子役に対しては細心の注意を払い、真に伝えるべきことをコントロールし映像化する、という想像を絶するプレッシャー。
これらの負の問題に向き合ったその姿勢と勇気に拍手を送りたい。
“ダークな話を描くと傑作と言われる”という傾向は嫌いなんだけど、
要所要所での登場人物の言葉が心にずしりと来る脚本、大波が何度も訪れるも筋が通った構成、印象に残るシーンの数々は、観客の魂を揺さぶる。原作とは異なるアプローチは本作における問題提起を確実のものにしていると思います。
硬派な映画だけど、目を背けず、ひとりでも多くの人に観てほしいと切に願います。
■「闇の子供たち」
2008年夏休み、シネマライズ ほか全国順次ロードショー
(c)2008映画「闇の子供たち」製作委員会
公式サイト









