「ぐるりのこと。」の橋口亮輔監督は鶴だと思う
2008-05-09 19:57

[c]2008「ぐるりのこと。」プロデューサーズ
非常に才能がありつつも、寡作の映画監督ってたくさんいるが、橋口亮輔監督もそのひとりである。
「二十才の微熱 A TOUCH OF FEVER」('93)、「渚のシンドバッド」('95)や 「ハッシュ!」(2001)など、どれもこれも、ぐっとくる秀作ですもん。
これまでクオリティ面で裏切られたことのない、フェイバリットな監督なので、毎回映画を観終わった後、鼻息を荒らすけど、すぐにそれを誰かに訴えるわけではなく、しばらく大事に大事に、その感動を心のうちに保管する。
どの作品もなんともいえない熱を帯びているので、その後余韻を引きずる、引きずる。
いや~、今回もいいですよ。そ、「ぐるりのこと。」です。
演じてる木村多江とリリー・フランキーのふたりも、代表作になりますな。
内容をざっくりと言うと、ひと組の夫婦の10年間の軌跡を追った物語。こりゃ新境地っすね。
10年ひと昔とはよく言ったもので、人生山あり谷ありなわけで。
中盤からは、子供を失ったショックで精神を蝕んでいく妻と、彼女を支える夫の日常が、実に丹念に織り上げられていきます。なんというか、本当に真摯につむぎ上げてあるんですよ。
いつも思うのですが、橋口監督にとっての映画作りというのは、文字通りライフワークであります。
以前に話を聞いた時、「僕にとって生きること=映画なんです」とまで言っておられた。しかも、それが面白楽しい作業ではなく、どちらかというと、身を削って必死こいてやってる感があります。
それはまるで、鶴が自分の羽をとって、ひとつひとつ反物を織っていくような作業で。。。
実際に自分自身が体験し、葛藤したことを、映像にも織り込んでいくと言っていたし。
必要以上に、エネルギーを消耗してるんじゃないかと思って、心配になります。
だがしかし、織らずにはいられないんすね。
その織り方を想像すれば、そりゃ寡作なのはいたしかたない気がしますね。
だからこそ、我々は、彼の全身全霊を込めて織られた作品群に、心惹かれずにはいられないというか……。
ということで、最新作「ぐるりのこと。」も珠玉の逸品に仕上がってます。
ぜひ、その至高の作品を、堪能してくださいませ。
■6月7日(土)、シネマライズ、シネスイッチ銀座にてロードショー!


















