アカデミー賞主要部門候補作品観賞後 雑感メモ
2007-02-23 05:17
全部とはいきませんが、
アカデミー賞の主要部門(作品・監督・俳優賞)の候補作品を、
いくつか見てます。
以下は、批評でもなく、雑感メモです。
ネタバレも含みますので、御注意ください。
(MovieWalker江崎毅)
「ブラッド・ダイアモンド」4/7公開
主演男優賞候補(レオナルド・ディカプリオ)
助演男優賞候補(ジャイモン・ハンスゥ)
※「面白い映画」という意味では、
アカデミー賞主要部門候補作の中では一番。
多くの映画が失敗しがちな、
現実の社会問題と、娯楽性のブレンドが
うまくできている。
主演3人も好演。
アンチヒーローを演じる、ディカプリオは
大人になってから最高の演技。
アフリカ出身のジャイモン・ハンスゥが助演男優賞を
受賞してもおかしくない役柄と演技。
候補ではないが、ジェニファー・コネリーは
受賞した「ビューティフル・マインド」より深みのある演技。
「ボルベール 帰郷」6月公開
主演女優賞候補(ペネロペ・クルス)
※「オールアバウト・マイ・マザー」と並ぶ
ペドロ・アルモドバル監督による、「スペイン女性映画」の秀作。
エピソードよりも登場人物のライフスタイルを楽しみたい。
ペネロペ・クルス、カルメン・マウラはじめ
女優陣が皆すばらしい。
ハリウッドでは発揮できなかったペネロペの魅力が満開。
「ラスト・キング・オブ・スコットランド」3/10公開
主演男優賞候補(フォレスト・ウィテカー)
※フォレスト・ウィテカーの個性を生かした、生涯最高の演技。
身体がでかくて怖そうだけど、笑顔に愛嬌がある役がぴったり。
ウガンダのアミン大統領の
愛嬌あるカリスマ性と残忍性を併せて表現。
やはり、基本的に層が厚く、実力ある人が集まっている
米ショービジネス業界なので、
評価されるのは、
「実力ある人が真価を発揮する」という点が
ポイントだと、改めて思います。
ピーター・オトゥールの同情受賞がなければ、8割がた受賞。
「バベル」4月公開
作品賞候補・
監督賞候補(アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ)・
助演女優賞候補(菊地凛子)・
助演女優賞候補(アドリアナ・バラッザ)
※モロッコの南部の田舎をひとり旅したときの気分を思いだします。
アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥは今一番脂がのってる監督。
作品の質で言うと、これが作品賞を受賞するでしょうが、
アカデミー賞は様々な要素を含んでいるので
わかりません。
助演女優賞候補は二人とも好演。
アドリアナ・バラッザはメキシコ人母親の代表。
個人的には菊地凛子さんに受賞してほしいが…。
今年のアカデミー賞は、日本とアフリカがブーム。
「ドリームガールズ」
助演男優賞候補(エディ・マーフィ)・
助演女優賞候補(ジェニファー・ハドソン)
※オリジナルの舞台版と同様に、
やはり個人技を楽しむ映画。
エディ・マーフィが「サタデーナイト・ライブ」以来の本領発揮で
昔のファンとしては、本当に、嬉しい限り。
舞台版のジェニファー・ホリディには
およばないものの、
ジェニファー・ハドソンも、ぜひ受賞して欲しいもの。
「幸せのちから」
主演男優賞候補(ウィル・スミス)
※いわゆるハリウッド映画的な感動作でなく
イタリアのネオ・レアリスモ映画のような
貧しい親子の苦闘を描く映画を作りたかった、
製作・主演のウィル・スミスの意図はよく表現されている。
ウィル・スミスは好演。
子育てしながら仕事に奮闘する親なら
身につまされるエピソードが多い映画。
「ディパーテッド」
作品賞候補・監督賞候補(マーチン・スコセッシ)・
助演男優賞候補(マーク・ウォールバーグ)
※オリジナルの「インファナル・アフェア」がやはり好きです。
スコセッシの演出が元気を取り戻して、よかった。
監督賞は、功労賞も含んだ受賞が濃厚。
マーク・ウォールバーグは儲け役。
「リトル・ミス・サンシャイン」
作品賞候補・助演男優賞候補(アラン・アーキン)・
助演女優賞候補(アビゲイル・ブレスリン)
※シニカルなコメディが大好きです。
作品賞候補にまでなったのは、
米の激しい格差社会の世相(当然、負け組の方が多い)を
反映してのことだと思います。
大穴の作品賞受賞もあるかも?
脚本賞受賞は確実。
お祖父さんのアラン・アーキンは60年代に大活躍した才人。
功労賞的受賞があるかも?
アビゲイルちゃんの役には誰もが拍手を送りたくなる。
「ユナイテッド93」
監督賞候補(ポール・グリーングラス)
※「狂っちゃいないぜ」などの空港の管制塔を描く映画が好きなので
「911」の時に管制塔がどうなっているかが
ずっと、一番気になっていました。
そこが描かれている点が一番のポイント。
機内の話がフィクションである点が問題になっている点については、
私には、どちらでもいいです。
遺族に誠実に配慮しながら、最初に形にした監督は立派。
「硫黄島からの手紙」
作品賞候補・
監督賞候補(クリント・イーストウッド)
※「父親たちの星条旗」の方が映画として上だと思いますが、
米人にとっては、こちらの題材の方が新鮮だと思います。
イーストウッドは映画業界人の人気が高いので
(グラミー賞における、U2みたいな存在?)
アカデミー賞も、作品賞・監督賞共に、ひょっとするかも。
いわゆる「泣ける感動作」にしないように
監督が心を砕いているので、安易には泣かせません。
この2部作が、
国家や民族でなく、兵士へのトリビュートである点が
この作品の共同製作者の
スピルバーグの戦争映画との歴然たる差だと思います。
ハリウッドのトップが、
米の敵側の視点で描いた戦争映画を作った意義は、
将来、更に大きくなることでしょう。



